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ED診療のコツ

ED診療のコツ 〜Dr.インタビュー〜 第5回

EDアプローチ最前線 言い出しづらい、聞き出しにくいEDの症状
きっかけ作りの工夫で、ED診療へのハードルは下がります。

【専門医の取り組み 第5回】 EDを相談しやすい環境作りを行っている病院

EDかもしれない…が言い出せない日本の文化

EDは勃起障害や勃起不全と言われる疾患で、男性の本能としても性機能の衰えは受け入れにくく、男としての終わりを連想し大きな不安を感じる、とてもデリケートな疾患だと言えます。
EDは徐々にではなく数ヵ月から1年ほどの間で、急激に性機能低下を感じることから焦燥感も高まり、更に症状が悪化することもあります。

そのため患者さんは、「EDかもしれない…」と思っても言い出せず、診療をためらうことも多く、また医師としても、「EDの症状はありませんか?」とは聞き出しにくいものです。これには、欧米などとは性に対する意識も異なり、元来、恥ずかしがり屋だと言われる日本人特有の性質や文化も背景にあるように思います。

千田 基宏 院長

千田クリニック(愛知県小牧市)
千田 基宏 院長

EDと生活習慣病の関係性〜ED診療の実際

当クリニックに来院されるED患者さんの世代は、50代から60代が最も多く、次いでその前後の世代となります。年齢的なこともありますが、その原因の多くは高血圧や高脂血症、糖尿病などの生活習慣病で、そのほとんどが何らかの生活習慣病を罹患しています。
EDと生活習慣病の関係性は、私たち専門医の間では常識的に知られていることですが、患者さんにはほとんど認知されていないのが実情です。

また最近では、20代・30代の患者さんも増えています。若い方はストレスなどが原因となる心因性EDであることが多いのですが、ストレス社会と言われる現代においては仕方のないことかもしれません。とはいえ若年性EDは、結婚や子づくりなど人生に直結する影響がありますので、できるだけ早く適切な治療をして改善してあげたいと思っています。そのため私は、比較的早い段階からED治療薬による薬物療法を行っています。薬の力を借りて、少しでも早く自信を取り戻してもらうことが大切なのです。

患者さまへのアプローチポイント
潜在的なED患者さんを診療に導く難しさ
ED患者さんには、「何か持病はありますか?」と、生活習慣病などの既往歴を確認していますが、反対に、生活習慣病だからといって、「EDではありませんか?」「EDになる可能性がありますよ」とは切り出しにくいものです。このあたりは専門医であっても非常に気を遣うところですので、内科の先生などは特に難しいのではないかと思います。
EDはデリケートな疾患のため、診療には特有の難しさを伴いますが、生活習慣病の初期症状としてのEDとの観点からも、潜在的なED患者さんを診療に導くことは、とても重要な意味を持ちます。例えば、細い陰茎動脈で動脈硬化が起こりEDになっているのであれば、いずれは太い冠状動脈でも同様のことが起こる可能性があるなど、EDが大きな疾患を予見するきっかけになるとも言えるのです(表)。
そこで当クリニックでは、問診票にEDの項目を設けて、少しでも気になる症状のある方は、EDの欄に○を付けるだけで良いようにしています(図)。実際に、最初は泌尿器の診療で来院された患者さんが、問診票にあるEDの項目を目にしたことで、次回改めてEDの相談にこられたり、EDの項目を見て、「最近元気がなくて…これってEDですか?」と、診察時に気軽に聞いてこられたりすることが多々あります。
その他の工夫といえば、ED診療に関する情報を盛り込んだホームページを開設していることです。スマートフォンにも対応しているため、ふと思い立ったときに気軽に検索し、相談しやすくなっていると思います。また、新しいことにもきちんと対応しているといった印象が安心感を与え、来院のきっかけにもなるようです。
ED治療と治療開始後の患者さんQOL
EDの初回診療では、診察や相談だけを希望しているのか、薬などによる治療を目的としているのかを確認します。特に若い方は、「自分のような年齢でもEDになるのか」といった相談目的の来院も多く、高齢の方は、「元気を取り戻したい」と治療を目的として来院されます。お話ししたように、EDと生活習慣病は密接に関係しているのですが、生活習慣病の状態によっては薬物療法を行っても効果の出にくい場合もあるため、そのときは副作用や既往歴に留意しながら薬を高用量のものに変えるなど、積極的に効果を高める方法を選択しています。
またED治療では、治療途中でドロップアウトしてしまう患者さんが多いと言われますが、本来、明確な治療目的があって効果を実感していれば治療を継続するはずです。その意味でも、常に患者さんとのコミュニケーションを図り、ニーズを把握しておくことは大切な診療アプローチとなります。例えば患者さんのライフスタイルによっても、持続性や即効性など、ED治療薬に求められる効果が異なります。目的や状況の変化に応じて適切な薬剤に切り替えることで、改めて効果を実感して自信を取り戻す患者さんもいるため、明確な目的がある患者さんには積極的な薬剤変更も行います。このように患者さんのニーズにマッチした診療が、患者さんのQOL向上にもつながるのだと思います。
ED治療における医師の役割と意義

実際に50代・60代で、もう一度、男性としての自信を取り戻せたと喜んでいる患者さんの様子や、「子供ができました!」と、うれしそうに夫婦で報告にきてくださる20代・30代の患者さんの顔を見るときが、この仕事をしていて良かったと思える一番の瞬間です。
しかし、日本人の特性や文化的な背景も手伝って、EDに対する認識や理解は、残念ながら進んでいるとは言えません。そのためには、私たちのような日本性機能学会専門医といったED治療の専門家が、生活習慣病の患者さんを診る機会が多い内科医への情報提供や、EDという疾患の一般への認知、浸透の活動を頑張らなくてはならないとも思っています。
EDやED治療の認識、理解を促進することで、よりよい社会生活を送っていただける方が、一人でも多く増えることを願っています。


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