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ED診療のコツ

産婦人科医がみるED(1)

監修:木場公園クリニック 院長 吉田 淳 先生

不妊症とED

日本産科婦人科学会の定義では、不妊症は、「生殖年齢の男女が妊娠を希望し、2年間性生活を行っているにもかかわらず妊娠の成立をみないこと」とされていますが、最近では1年間で妊娠しない場合を不妊症と捉えています。不妊症は、結婚している夫婦の約10%にみられるといわれていますが、女性の結婚年齢が高くなったことなどにより、さらに増加しています。

以前は、不妊症は女性の問題であると考えられていましたが、WHOの調査より、不妊症の原因は41%が女性側に、24%が男性側に、24%が男女両方にあり、11%が原因不明であると報告されています。つまり、約半数は男性に何らかの原因があるのです。 男性不妊症の中で、約20%が性機能障害です。性機能障害には、主にEDと射精障害がありますが、大半はEDです。排卵日に性交渉をもたなければならないというプレッシャーから勃起できない(排卵日症候群)など、心理的なものが大きく影響するため、心因性EDになることが多いのです。

ED診療の流れ

男性不妊症の治療では問診が重要ですので、当院ではまず、男性不妊症問診票(図1)に記入してもらいます。この問診票の中に、勃起の状態に関する質問があるので、EDであるかどうか判断できます。EDであれば、治療薬を処方する前のチェックとして、全員に血圧測定、血液検査(肝機能・腎機能検査)、心電図、胸部X線検査を行います。ただし、人間ドックや健康診断の検査結果があれば、検査は行いません。検査結果に異常がなければ、ED治療薬を4〜6錠処方しています。もし、ED以外にも原因があれば、EDの治療と一般不妊治療を同時に行います。

不妊症は夫婦二人の問題であるため、二人一緒に受診してもらっていますので(写真)、ED治療薬服用に関する同意書には夫婦で署名してもらいます。

不妊症の治療は長時間を要することもあり、今後の治療方針や将来のことに不安を抱いている方も多く、また、周囲から「子供はまだなの?」という言葉に深く傷ついている方がたくさんいらっしゃいます。不妊症の治療には、心のケアが大切ですので、看護師や心理カウンセラーによるカウンセリングも行っています。当院には男性の看護師がいますが、ED治療においても男性によるカウンセリングは効果があります。

男性不妊症問診表

[図1]男性不妊症問診表
(クリックで拡大)

ED有病率の比較

[写真]夫婦で受診できる診察室

不妊症でのED治療薬の効果

ED治療薬は精子と精巣には影響しないとされていますので、EDが原因の男性不妊症には非常に有効です。特に、不妊症の治療では心因性EDが多いので、薬を持っているだけで安心して、性交渉が成功することもあります。また、一度薬を飲んで成功すると、それが自信となり、EDが治ることもあります。しかし、初回に効果がなかったら余計に自信を失ってしまうので、最初にしっかりと服薬指導を行うことが大切です。

服薬指導

ED治療薬を服用する際の注意事項や服用のタイミングなどをきちんと説明します。ED治療薬は性欲増進剤だと思っている方もいらっしゃいますので、性的な刺激がないと効果がないことを説明し、雰囲気づくりも重要であるとアドバイスします。また、ED治療薬は精子と精巣には影響しないとされていることを伝えます。

ED治療薬無効例への対応

治療薬が無効である場合、尿検査、血液検査(肝機能検査・血糖)、ホルモン検査(FSH・LH・プロラクチン・テストステロン)、心理テスト、勃起機能検査(視覚的性刺激検査・夜間睡眠時勃起検査)、神経系検査、血管性検査を行って原因を調べ、場合によっては専門医に紹介します。

様々な治療を試みても性交渉ができない場合でも、マスターベーションで精液が採取できる方には、スポイトを使って膣内に精子を注入したり、人工授精を行ったりします。精液が採取できない方には、精巣内の精子を用いた顕微受精を行います。

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