医療従事者への限定情報
泌尿器科医が診るED
監修:岩佐クリニック 院長 岩佐 厚 先生
患者さんの受け入れについて    問診のコツ    検査について   
ED治療薬の処方について 服薬指導    再診について   
ED治療薬無効例への対応    スタッフ教育    カウンセリングによる治療   
専門外来のメリット       
■患者さんの受け入れについて
 2〜3割の患者さんが他院からの紹介で、前立腺全摘や膀胱全摘などの重症例が多いです。残りは患者さん自らED治療を希望して受診されており、医院のホームページを見たり、友達からの口コミで来られています。
 泌尿器科の特徴でもあるのですが、近所の方に知られたくないためか、自宅から離れた病院に行きたがる傾向があります。しかし、EDは生活習慣病などと関係が深く、内科にかかられている方もいらっしゃいます。このような患者さんに薬を処方する際には、必ず主治医の許可を得るようにしています。
■問診のコツ
 初診の際の問診表に、“性機能相談”“ED治療薬についての相談”という項目を入れています。“その他”という項目もありますが、そこにはなかなか書けませんから…。“性機能相談”に○を入れられた方には、性機能に関する問診表(図1)に記入してもらいます。“ED治療薬についての相談”に○を入れられた方には、まず、診療方針と治療費を提示し、これに同意されれば、性機能に関する問診表とED治療薬服用に関する問診表(図2)に記入してもらいます。診療をスムーズに進めるために、問診表にはできるだけ詳しく書いてもらいます。
 
 
 問診では回りくどく聞かず、単刀直入に切り出します。言いにくいことを先に聞いてあげると、患者さんは話しやすくなるようです。
 診察は、スタッフが入れないようにカウンセリングルームを利用していますが、待合などでは他の患者さんと区別しないことも大切です。
■検査について
 ED治療薬を希望される方には、安全性のチェックのために、全員に血液検査(肝機能、腎機能、血糖、高脂血症、性ホルモンなど)を行います。ただし、2〜3ヵ月以内の検査結果があれば、再検査はしていません。また、60歳以上の方や、高血圧や糖尿病などを合併している方は負荷心電図検査を必須にしており、検査されない方へは薬を処方していません。当院では、近くの循環器専門医に心電図検査を依頼しています。
■ED治療薬の処方について
 問診と検査の結果、問題がなければED治療薬を処方します。以前は、初診時には低用量を1錠しか処方しなかったのですが、最近は、初回服用は血管が収縮して効きにくいということがあるので、4錠出しています。
■服薬指導
 薬の説明には、適正使用の小冊子を使っています。この薬が血管拡張剤であること、副作用が出る可能性があること、1時間前に飲むこと、決して勃起を起こす薬ではないことなどを説明し、正しく服用すれば非常に安全な薬だと伝えた上で、狭心症の話しをします。服用後24時間以内に硝酸薬を服用すると死ぬ危険性があること、他の病院を受診する時は必ずED治療薬を服用していることを告げること、投与カードを財布などに入れて24時間持ち歩くことなどを話します。
 また、負荷心電図をとる意味を詳しく説明します。5METS負荷が射精時の心臓負担だということを話し、問題なければ安全ですよと言えば、患者さんは安心してくれます。他の病院で薬をもらったけれど効かなかったという患者さんに、きちんと説明すると効果があったということもあり、薬を理解できていない方は多いようです。きちんと説明すると、患者さんは安心できると思います。
■再診について
 効果や副作用などについて質問し、有効性が確認されれば同用量を好きなだけ、最大20錠を処方しています。再診でも投薬だけの対応はしていません。薬という概念を持たせるために、たとえ10秒でもきちんと話しをするようにしています。
■ED治療薬無効例への対応
 弱い反応例には、再度、服薬指導を行い、薬を増量します。術後などの無反応例では、PGE1陰茎海綿体注射を行い、血管性の鑑別を行います。反応が悪い場合は1〜2週に1回来院してもらい、注射で反応性を高めます。薬以外の治療として、PGE1陰茎海綿体注射を希望される方もおられますが、治療法の決定はパートナーの希望によります。
■スタッフ教育
 ED診療では、スタッフの協力も重要です。当院は泌尿器科ですので性病が多く、初診時の問診表で“排尿時に痛む”“性病相談・検査”に○を入れていたり、診察室で患者さんが「ところで…」と言われれたり、後ろを気にされたりすると、スタッフは部屋から出ていきます。今までそのようにやってきたので、ED診療もその延長上にあり、スタッフが入ってくることはありません。
 受付では、ED治療薬を処方した患者さんには、診察券の名前を青色で書くか(通常は黒色)、青丸をつけており、患者さんが診察券を出した時点でスタッフはED診療であると判断できます。患者さんも受付でEDのことを言う必要がありません。これはスタッフが考えた案なのですけどね。
 会計では、領収書を見せるだけで、金額を声に出さないようにしています。普通の診察では数百円ですが、EDだと数万円になってしまいますから。
■カウンセリングによる治療
 私が開院した頃、EDについて色々と勉強し始めると、注射して薬を飲ませるだけでは治せない疾患だと分かりました。EDは心理的な要因が大きく、単なる相談に対する答え(リラックスしたら…など)だけでは患者さんは満足せず、具体的な方法を望んでいるのです。EDはカウンセリングによる治療も必要だと感じ、セックス・セラピストを取得しました。
 カウンセリングには、不妊や未完成婚などで来られる方が多く、不妊専門のクリニックへ行き話しをすると、セックスができていないということで紹介されて来られたり、性科学会のホームページを見て来られています。予約制ですので、まず電話で話しをしますが、そこでEDだと分かれば、男性だけに来てもらい、EDの治療を行います。不妊などの難しい問題であれば、夫婦で来てもらいます。その方が治療効果もいいようです。
 カウンセリングの方法はさまざまですが、基本的には男性のセックスに対する不安を取り除くことが中心になります。まず女性から話しを聞き、次に男性の話を聞きます。そして、課題を作って総括し、次回のカウンセリングまでに、その課題をクリアするようにしてもらいます。トータル1時間ほど話しをしており、非常に手間をかけています。
 患者数は5年間で28組、現在かかえているのが3組です。不妊の場合は子供ができれば終了となりますが、子供さんができて喜んでもらえるとうれしいですね。
■専門外来のメリット
 当院では性機能外来を4〜5年前に、男性更年期外来を昨年に開設しました。現在、毎土曜日に大阪大学泌尿器科学教室よりスタッフを招いて、最先端の診断・治療を受けれるようにしています。








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